(コラム)更年期障害

現代女性は過剰なストレスで心身ともにおしつぶされそうになっています。
その影響が更年期障害の若年化、長期化というかたちでわたしたちのからだとこころに変化を起こしています。 更年期を早めない、長引かせないようにするために更年期に関する知識を深めていただき、
当院では更年期ケアをライフスタイルから治療までご提案します。

第4回:ライフスタイルの代償

卵巣の寿命を決定づけているのはその女性が持っている遺伝子です。
あなたの遺伝子にはあなたが生まれる前から卵巣の寿命がプログラミングされていて
何歳で卵巣の寿命が尽きる(閉経をむかえる)かが決まっています。
しかし先天的な遺伝情報以外にも後天的な各種の要因が卵巣の寿命を変動させます。
変動といっても寿命を延ばすのは困難で、たいていの場合いろいろな後天的要因で寿命を短くしてしまうことのほうが多いようです。後天的な要因として重要なのは、過度なストレス、栄養の過不足、喫煙、過激なダイエットによる体重の病的な減少、極端な冷え性などがあげられます。
このような悪条件が長期間続くと卵巣の寿命は本来遺伝子にプログラミングされていたものより短くなってしまう傾向があるのです。

では同じ条件下で人生の寿命はのびているのに卵巣の寿命が短くなるのはなぜ?

人間は心身が危機(クライシス)に陥ると、生命体として生存できるための最小限の機能を最優先するように出来ています。生命体として生存するための最小限の機能を有する臓器とは、心臓、脳、副腎などが当てはまります。生存に深くかかわっていない臓器の機能は一時的に止まってしまいます。生き延びるためにエネルギーの分布がかわってしまうわけです。
それでは卵巣は?
残念ながら卵巣は最優先される臓器の中には含まれません。表現が良くないですが、卵巣はなくても命にかかわらない、ということです。確かに、男性は生まれつき卵巣を持っていませんし、女性でも不幸にして若くして病気で両方の卵巣(ちなみに卵巣は子宮を挟んで左右に1個ずつ、計2個あるのが通常です)を摘出される方もいらっしゃいます。卵巣は摘出しても命にはかかわらないから摘出するのです。心身が危機に陥ったとき生物として生き延びるためには、付加的な機能である卵巣機能は最初に止まるように神様は女性のからだを創られました。こういう知識を知らなくても、皆様の多くは職場や家庭、友人との人間関係でうまく行かずストレスが続いたり、仕事が忙しかったり、進学、就職、結婚などで生活環境が変わったり、大きな病気をしたり、ダイエットで体重が極端に減少したことで、月経周期が一時的に不順になったり、極端な場合、月経が止まってしまったり、不正出血が頻繁に出現するようなことを経験されたことがあるのではないでしょうか?
先にお話しました過度なストレス、栄養の過不足、喫煙、過激なダイエットによる体重の病的な減少、極端な冷え性などはプレクライシス(危機の前兆)として女性のからだにシグナルをおくります。悪条件が速やかに解消されれば卵巣の一時的な機能低下でとどまり老化を早めるまでにはいたりません。
しかし、現代を生きる女性はプレクライシスの連続です。卵巣をとりまく環境が好転しないことでついには卵巣は老化を早め、寿命まで短くしてしまっているのです。

皆さんの卵巣は大丈夫ですか?卵巣の寿命をまっとうさせられそうですか?

当院は霞ヶ関にあるのですが、来院される患者さんは多くは20歳以降の働く女性です。ストレスや生活習慣の悪さによる病気はいろいろありますが、それらを現代病というのであれば、更年期の若年化も現代病といっても過言ではないかもしれません。

卵巣は私たちが考えている以上に繊細にできています。
わたしたちがどのように生きてきたかが卵巣の寿命を決定します。
からだや心はわたしたちが何を経験するかによって影響をうけるという事実を再認識するためにも月経や更年期はあるかもしれないですね。